白岩川除地蔵

白岩淵から救出されたお地蔵さん

白岩川除地蔵

白岩川除地蔵

白岩川除地蔵、堂内

五輪塔、地蔵、丸石

白岩川除地蔵、地蔵

地蔵アップ

白岩川除地蔵、周辺

目の前は朝比奈川

解説

朝比奈川の仮宿白岩頭首工近くの道路わきに、小さなお堂があります。この堂内に左から、五輪塔・地蔵・小さな丸石が並んで安置されています。お堂の外には一抱えほどもある平たい丸石が置かれていて、なにかいわくありげな感じがしましたが、これも祀られているものなのかどうかは定かではありません。お堂自体も、こうした小さなものには珍しく、しっかりした瓦葺きなのが目を引きます。

地蔵は光背を背負った座像で、光背に「石經供羪塔前仲正寺、寛政七卯天 [?]月吉辰 [定仙建立?]」と銘があります。「定仙建立?」の部分は判読に自信がなく、『焼津市史』によれば「定山[?]位」と刻まれているのだそうですが、このページには一応自分が見たままを書いておくことにしました。

銘のうち、「仲正寺」とは、すぐ南側にある中正寺のことでしょうか。「石經供羪塔」は、常用漢字に直すと「石経供養塔」。石経とは石にお経を刻んだもののことで、おそらく一つの石に一文字ずつ経を刻む一石一字経を奉納した記念にこの地蔵を建立したのでしょう。石経は供養塔の下に埋められていることが多いのですが、後述するようにこの地蔵は以前川の氾濫で流されているため、石経はその時に失われたのではないかと思われます。

この地蔵は、現在では水害除けの川除地蔵として祀られているそうです。藤枝市が作成したパンフレット「岡部氏の郷 文化財めぐり」によると、以前、朝比奈川が氾濫したときに地蔵が流されてしまい、後に白岩淵というところから引き上げられました。それ以来、白岩川除地蔵として現在の場所で祀られるようになったのだそうです。

なお、お地蔵さんの左肩の上に乗っかっている泥の塊は、たぶんトックリバチの巣です。

参考文献