貝立山の廃隧道前に祀られる不動明王の石像
周辺の様子 |
覆屋にタケノコが侵入 |
静岡県道210号相俣岡部線を岡部町岡部の終点側(県道208号との接続点)から岡部町桂島方面へ向かうと、すぐに山を登り始めます。この山を貝立山といいます。山裾の貝立公園を左手に通り過ぎ、上り坂を少し進んだ右手に、現在は廃止された岡部隧道(トンネル)へ向かう分岐が現れます。この分岐の奥にある廃トンネルの手前右手、山の斜面を固める擁壁の上に、小さな覆い屋が置かれ、その中に不動明王像が祀られています。
火焔を背負った座像で、小さな像ですが装束など細部もしっかり作り込まれています。像容から不動明王と判別できましたが、銘などは見えませんでした。
お不動さんといえば滝のそばに祀られていることも多く、ここのそばにも雨が降ったら水が流れるだろうと推測される沢筋がありました。沢自体は滝といえるほどのものではないのですが、見えはしないもののどこか近くで流水の音も大きく聞こえており、もしかしたら水に関連して祀られているのかもしれないという印象を持ちました。
ところで、ここは元は県道のトンネル前だったわけで、トンネル現役時代にはそこそこ車通りがあったものと思われます。このお不動さんは、その頃からここにあったのでしょうか。もしそうだとしたら、道幅も広くはないですし、お参りするにはちょっと怖い立地だったろうなぁと思いました。
「心霊スポット巡礼 東海 静岡県 > 岡部隧道 携帯ホームページ フォレスト」によると、この不動明王像はトンネルが廃止される前からここにあったそうです。となると、この不動明王像は、トンネル前という不便な場所をわざわざ選んで設置されたということになりそうです。峠に神仏を祀るという風習がありますが、峠に穿たれたトンネルのまわりにも同様のものが見られる場合があります。もしかしたら、この不動明王も、峠やトンネルの安全を祈って祀られたのかもしれません。