焼津市内の朝比奈川堤で祀られる数少ない野仏のうちの一つ
左・牛頭観音、右・川除地蔵 |
外観 |
水色の建物が中里水防倉庫 |
朝比奈川左岸の堤防上、焼津市中里水防倉庫脇の堂内に、牛頭観音と地蔵が並んでいます。どちらも光背を背負った立像で、緑色がかった石で造られています。牛頭観音は頭上に牛の頭を頂き、光背に“牛頭観世音”の銘があります。地蔵には銘は見えず、両手で宝珠を持っているようです。
『瀬戸川通信』第10号掲載の写真「瀬戸川下流域 川除地蔵、馬頭観音」は、ここの写真のようです。ということは、牛頭観音の隣の地蔵が川除地蔵なのだろうと判断しました。牛頭観音は飼育していた牛を供養するためのものだろうと推測します。
『ふるさと東益津誌』によると、朝比奈川では大正4年(1915年)から昭和9年(1934年)にかけて大きな改修工事が行われました。中里付近では、改修以前の朝比奈川は北に大きく蛇行していましたが、この工事で現在のまっすぐ瀬戸川に流れ込む河道に変えらました。
焼津市内の朝比奈川沿いに祀られている地蔵などの野仏は多くはありません。左岸堤防付近では、この中里のものと、元は瀬戸川にあったという岡当目の馬頭観音の、2ヶ所のみを確認しています。瀬戸川堤防上には多くの野仏が祀られているのとは対照的です。『焼津市史』によると、右岸の越後島では前述の朝比奈川河川改修の影響で川沿いから寺などに移動したものもあるそうです。元はもっと多くの野仏が祀られていたのかもしれません。
最終更新:2014年4月5日 ページ作成:2014年4月5日